※追記 2017/1/10
間違った用語の使用に関するお詫び
一般的な検索エンジン最適化の逆を行なっていると言う意味で、逆SEOという言葉を使ったつもりでしたが、既存の用語として存在しておりました。逆SEOは企業の誹謗中傷などにより、困った企業が、そのサイトの検索順位を落とすためにペナルティーになるような低品質なサイトから大量にリンクを送ったり、隠しリンクを貼ったりして、誹謗中傷サイトの検索順位を下落させる行為のことです。この度はタイトルで内容を誤認してしまった方へ大変申し訳ありませんでした。@shoyo_kyo様、@ueo70様、ご指摘ありがとうございました。
一方、低品質な観光庁サイトによって紹介さされることによって仮に検索順位が落ちる査宿泊サイトがあれば、これこそが逆SEOです。観光庁のサイトなので、評価は上がると思いたいですが、その検証まではしておりません。
↓ここからが元々の原文です。
観光庁は既存の宿泊施設における客室を有効に活用するための空室情報提供の強化を目的とし、2016年12月から2017年2月までの限定で、直近3日間の宿泊施設の空室情報を提供するサイトを開設した。
日本語、英語、中国語(簡体、繁体)、韓国語で多言語化されており、北海道札幌市、東京都台東区、大阪府大阪市、福岡県福岡市での提供を開始した。今後愛知県名古屋市における提供も開始する。
背景としては、大都市を中心とした宿泊施設の客室稼働率が高い割合で推移しているが、宿泊予約サイト等の活用を行っていない施設があり、宿泊予定者が空室の宿泊施設に出会えないという問題があった。
出典:観光庁プレスリリース
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もくじ
HVSSサイト構成
トップページで県名を選択。
宿泊施設一覧で宿泊料金、詳細エリア、表示順(宿泊料金安い順・宿泊料金高い順・当日空室順・更新順)を選択して検索。
一覧表示では、施設種別(ホテル、旅館、簡易宿泊所)Wi-Fi、駐車場あり、冷蔵庫、テレビ、エアコン、コインランドリー、禁煙部屋あり、喫煙部屋あり、空室5室以上、空室4室以下、空室なしという情報が分かります。
宿泊施設の詳細ページです。一覧ページにあったような空室情報はそこには存在していませんが、宿泊施設のホームページがあるので、そこに飛んで、情報を確認して予約することになります。
各種キャプチャの出典:公式サイト
HVSSの受託・開発について
このサイトは宿泊施設の空室情報提供強化事業(東京都、大阪府)と宿泊施設の空室情報提供強化事業(北海道、愛知県、福岡県)の企画競争の審査に野村総合研究所1社が応募し発注され、日本ユニシスが下請けとなり制作されたという。
発注額は不明ではあるが、2016年8月12日に決定をしてから2016年12月28日にリリースされるまでの約4か月で要件定義から開発までを済ませたことになる。
出典:審査結果
HVSSの逆SEOについて
まず、HVSSというワードだが、Hotel Vacancy Search Systemの略称だと考えられる。しかし、このワードで検索をするとはなんとも思えない。また、逆SEOについて触れていく。
SEOの教科書があったとしたら、まず基礎として出てくるであろう、タイトル(title)や詳細(description)がこのサイトはすべてブランクになっている。
<!-- tdk --> <title></title> <meta id="discription" name="description" content=""> <meta id="keywords" name="Keywords" content="">
最近のgoogleはこんなタグが無くてもサイトコンテンツを読むことで適切な内容を提示してくれるともいわれている。
しかし、まずサイトにタイトルが無いというのは何なのだろうか?なんとでも紹介してください…ということだろうか?
次に、descriptionタグは検索順位に直接的に影響を与えないものの、googleの検索結果でどのように表示してほしいかをgoogleに伝える手段として、いまだ重要だと考えられる。表示しない理由はあるのだろうか?discriptionというのは誤植だろうか?discriptionという単語を私は知らない。
keywordsタグは昔は主要なSEO対策の一環だったものの、悪意を持った利用者が増加したことから、もう利用しないよとgoogleが明言したと記憶している。しかし、大手ではないクローラーが検索サイト上で完全に使用しなくなったかどうかについては明確ではない。ゆえに今でも設定だけは入れておけばよいのではないだろうか。
2月まで約2か月間の利用において、検索順位を上げることをあきらめたサイトだということであればよいだろう。実際に、地域を限定しているためコンテンツが民間の運営する宿泊サイトと比べて多くはなりづらいと考えられるため、SEOをあげることも難しいだろう。
そもそもSEOが効いてくるのは3か月くらいかかると聞いたことがある。この短い期間ではgoogleから自然に流入するのは難しいだろう。
トップページには、これといってテキストは設置されておらず、県ごとの宿泊施設一覧へのリンクがあるのみである。また他のページも全面的に他のサイトでも知りうる一般的な情報を並べただけでオリジナルの情報は見当たらない。そういった面でSEO対応がされているとは考えられないため、わかりやすく逆SEOと表現させていただきました。
ではSNSでシェアされるとどうだろうか?
まずツイッターについてはシェアボタンに適切にタイトル設定などがされていないため、URLしかシェアされない。さらにtwitterカードなどのOGPタグ(リンク先の画像を投稿に込めるようなHTMLタグ)がセットされていないので、リンク先の情報もよくわからない。これでは宿泊施設を見つけても気軽にシェアすることはできないだろう。
facebookでのシェアはどうだろう。ここでもOGPタグの設定がされていないため、宿泊施設の画像ではなくサイトの画像が表示されている。HVSS自体に認知度があるわけではないので、この画像を出すことによりブランディングをしていこうとしているのだろうか?しかしこのサイトは2017年2月までの実験サイトである。
HVSSの集客について残されたのはリスティング?
SEOもSMOも捨てたサイトであるということを考えると、残されたのは有料による集客としてリスティングやアフィリエイト、あるいは、はてブなどの被リンクということになる。
被リンクやアフィリエイトは他のサイト運営者に依存するためすぐに効果が出るわけではないし、2017/3以降デッドリンクを生むことからサイト運営者からしたら積極的に紹介はしないだろう。そうすると残されたのはリスティングということになる。
googleアドワーズによると、仮に「tokyo hotel」というワードで出稿する推奨クリック単価は313円となっており、検証するためにこの金額を垂れ流している可能性も考えられる。
HVSSのUX(ユーザー体験)
まず、HVSSにたまたま訪れた利用者は「宿泊施設 空室検索システム」ということしかわからない。強みである観光庁が運営を主導していることや、直近3日間の空室状況がわかるサイトであるということは知ることができない。
また、HVSSは予約機能を持っていない。なので予約するときは宿泊施設のサイトで予約することになる。HVSSだけを多言語化したとしても、結局宿泊施設が多言語化していなければ外国人の方は予約を完了させることは難しい。
しかもせっかく宿泊施設のサイトが中国語対応していたとしても、HVSSのサイトから宿泊施設へのリンク先は日本語サイトのトップページに飛んでしまう。
HVSSはそもそも必要なのか?
HVSSは予約機能を持っていない直前宿泊施設空室検索サイトだ。しかし、民間にもyoyaQ.comやトク―トラベルなどの直前宿泊施設検索予約サイトは存在している。また楽天トラベルや一休、じゃらんなどでも直前宿泊予約は可能になっている。
その中で予約ができないサイトを、なぜ観光庁が主導しているのだろうか?例えば、yoyaQ.comやトク―トラベルなどの宿泊予約サイトの多言語化のために資金の助成をおこなったり、未掲載の宿泊施設に対して掲載の支援を行うのではだめだったのだろうか?
そもそも観光庁には、他にもホテル・旅館の検索サイトがすでに存在している。
出典:公式サイト
このサイトに空室情報を掲載すればよかったのではないだろうか?複数のサイトをもつことにより、リソースが分散し、どのサイトも中途半端になってしまったのでは意味はない。今のままでは集客面、UX面ともに改善の余地が大きい。
しかし仮にSEOで一番にきてしまったら民間の宿泊予約サイトは不要になってしまう。民間WEBサービスに任せずに、宿泊施設が集客できる国にするという方針があるのであればそれもありなのかもしれない。しかしこれほど多くの事業者がいる中で、果たしてこれが国の仕事なのだろうか?
もし仮に、民間WEBサービスに任せずに、宿泊施設が集客できる国にするという方針だとするならば、WEB知識が無いと考えられるSIerに任せるのではなく、その分野の専門家にきちんと検証していただいて、効果のでるWEBサイトを作成したうえで実験を行っていただきたい。このままでは何の実験もできていないのではないだろうか。
意味のある血税の使い方を推進していっていただきたい。
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