カカクコムの取捨選択 / シンガポール金融比較サイト「MoneySmart.sg」へ出資と、アメリカ版食べログ撤退と文春砲

kakakucom-moneysmart
株式会社カカクコムは2017/6/7にシンガポール大手の個人向け金融比較サイト「MoneySmart.sg」に戦略的出資として、20%の出資を行ったことを発表しました。また、同日2017/6/7、食べログのアメリカ版のtabelog.usの撤退を行いました。この二つの因果関係は不明ですが、海外戦略の見直しを図っているということには間違いなさそうです。また、同日2017/6/7には食べログで活躍するうどんが主食さんが過剰接待を受けているとの疑惑について文春が報じヤフートピックにも同様の内容が掲載されるなど、話題になっています。こちらは海外戦略とは関係しませんが、ネガティブな情報が出るときにポジティブな情報を当てるという広報戦略の一環として戦略的出資を公表したというのも可能性ゼロではないのではないでしょうか。

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カカクコムの現状のサービスと海外戦略

株式会社カカクコムについては、みなさんご存知の月間利用者数5275万人の価格比較サイトである価格.comや外食の口コミ比較を行う食べログが圧倒的なメディアに成長しています。また、決算報告書の中で20以上のサービスを運営していることを公表しています。その中で価格.comは海外戦略として、アジア向けの価格比較ブランド「priceprice.com」を運営しており、フィリピン・タイ・インドネシア・インドへ展開し、合計月間利用者数は1000万人を突破しています。
pricepricecom
カカクコム2017年度決算報告書

また、海外から価格.comを利用するユーザー向けに、関連会社であるデジタルガレージのグループ会社であるベリトランスと組んで海外発送を行っています。
海外発送のプレスリリース

食べログの国内利用者とインバウンド戦略、海外戦略

食べログについては国内の外食サイトの中では最も多い月間訪問者数1億人を突破しています。1億人というと、もう上限のように思えますが、スマホとPCは別カウントになっているブラウザベースの計算となるそうですので、コーポレートサイト記載の月間利用者数 1億429万人(PC):2,330万人(スマートフォン):8,070万人というスマホの8000万人というのが、実際の利用者数と言えるのかもしれません。(重複した利用者に関しては不明ですが、スマホ使っていたらPCは使っているものと考えられるのではないでしょうか)

また、食べログは訪日外国人向けにEnglish、简体中文、繁體中文、한국어の4言語対応を行っています。それゆえ、国内人口1億3000万人の他に、訪日外国人年間2000万人も潜在的なお客様ということができると考えられます。

さらに食べログは海外の口コミも集め始めていますので、現地にいる日本人や旅行需要の取り込みも図っています。

その他、食べログはアメリカ版を始めていました。今回終了となったのはこのアメリカ版食べログです。47万件という、かなりの数の口コミは集まっていたようですが、それでも投資対効果にあわないという判断がくだったものと考えられます。

現時点で404エラーとなっています。
tabelogus

もともとのキャプチャを保存しておきました。完全に削除されるとは思っていなかったので、ぎりぎりキャプチャが撮っておけてよかったです。33万件のレストラン情報と47万件のレビューが無き者になってしまったようです。
www_tabelog_us
出典:www.tabelog.usの2017/6/6時点(現状閉鎖しているためリンクしていません。)

食べログへの文春砲

週刊文春 2017年6月15日号、2017/6/7文春オンライン公開された記事によると、食べログのレビュアーであり、書籍の出版も行っているうどんが主食さんが過剰接待を受けているとの取材結果を公表しています。食べログの信ぴょう性を失いかねない事態であり、ガイドライン違反だった可能性もあるため、今後食べログ側はどのような対応をとるのか注視していきたいと思います。

グルメサイト「食べログ」でカリスマレビュアーとして知られる「うどんが主食」氏(以下、うどん氏)が、自らが高評価をつけているレストランのオーナーから過剰接待を受けていることが週刊文春の取材で分かった。
5月に出した著書『うどんが主食 私が通うウマい店100+80』のトップグラビアで「ウェスタ」を紹介 ©文藝春秋

うどん氏はステーキ店「ウェスタ」(東京・日本橋)に「4.8」の高得点をつけ、〈私はここ以外ではステーキ食べたくありません〉と絶賛しているが、この店のオーナー、小林達彦氏と銀座のクラブで豪遊していたという。

食べログのガイドラインでは、もし接待を受けた場合は「通常利用外口コミ」として投稿しなければならないが、うどん氏のレビューにその表記はない。

▼掲載号はこちら
週刊文春 / 2017年6月15日号

▼出典
文春オンライン

なお、現在うどんが主食さんのプロフィールには、以下のような誤解を招いてしまったことと友人の店に迷惑をかけたことを謝罪した文面が掲載されており、これまでのレビューはすべて削除されてしまっています。

私はこれまで飲食店を評価する時、いくら親しい友人の店であっても正直に評価をしてきました。
今回、週刊文春の記事において書かれたことで多くの読者の方々に誤解を与えてしまい、
また友人のお店に多大なる迷惑をかけてしまいました。
今後、たとえ美味しくても友人のお店は誤解を招く恐れがあるので一切レビューしないことにします。

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出典:食べログうどんが主食さん

個人的には、感想を曲げていないレビューについてはそのまま残しておけばよかったのではないかと思います。インターネットアーカイブで調べたところによると2017年5月4日時点で1,568件あったクチコミがすべて非表示にされているため、飲食店の点数にも変動が出ているかもしれません。

今回渦中となっているウェスタの点数を比較してみました。
食べログのウェスタのページをインターネットアーカイブで事件発覚前の2017/6/2と発覚してクチコミを消した後の2017/6/10で比べます。

<食べログのウェスタ2017/6/2時点>
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<食べログのウェスタ2017/6/10時点>
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出典:食べログウェスタ

投稿件数は減っており、うどんが主食さんのクチコミも消えていますが、点数は4.14むしろから4.15へと、わずかに増えています。食べログは一人の不正があったとしても問題なく評価を算出できているということなのかもしれません。

個人向け金融比較サイト出資による比較サイトの海外戦略

一方、今回戦略的出資を行なったシンガポールの個人向け金融比較サイトに関しては、シンガポールとインドへ進出しています。価格.comのアジア版の進出エリアとしてクロスする部分があります。

金融関連の情報サイトに関しては送客や資料請求でマネタイズしやすく、今後はフィンテック関連ともシナジーを生むことが可能だと考えられます。一方その国やエリアに地盤が無いと進出が難しい場合もあります。その中で、戦略的出資により、関連する企業を増やして行くことにより、進出エリアの拡大を行うことができれば企業としての規模拡大に寄与することになります。
moneysmart
出典:moneysmart

カカクコムの今後

一時期時価総額が5000億円を超えていた時期がありましたが、現在の時価総額は3356億円です。一方連結貸借対照表によると平成29年3月31日において309億円の現金及び預金が残っています。しばらく出資やM&Aなどの動きがありませんでしたが、決算報告書で「AIを中心とする先端技術を取り入れるための提携・人的資源への投資」「オーガニックな成長を基本としつつ、戦略遂行上の必要性に応じてM&Aも検討」を行い成長させることが明記されています。また、2015年に公表した経営計画によると、フィンテック、IoT、VRのテクノロジーの活用や、教育、結婚、ヘルスケア分野の新規サービス展開を目指すことをほのめかしていました。
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カカクコム経営計画

クチコミ関連企業の状況

塾など教育分野のクチコミサイトであるイトクロはコンサルティングサービスなどから教育メディアに注力するよう公表し順調にメディア力を伸ばしています。こちらは元カカクコム従業員の山木学氏が代表取締役CEOをやっているようです。

結婚式クチコミのみんなのウェディングは元カカクコム・クックパッド社長の穐田誉輝氏がMBO実施していることをPressPlatinumでもお伝えしましたが、文春によると「菊川怜の結婚相手に“第4の婚外子”がいた!」とのことであり、一時上昇した株価が低迷しているようです。

一方、カカクコムとは関連しませんが、コスメのクチコミサイトのアイスタイルはオフラインショップの展開と、海外コスメクチコミサイトの買収など、オフライン戦略と海外戦略を加速させています。

各領域ごとに存在しているクチコミガリバーサイト達は今後どのような展開をみせるのでしょうか。

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