ヘルステックについて、ニュースとは違う切り口で紹介します。まず、ヘルステックとは何なのかというヘルステックの基礎知識についてご紹介します。その後、ヘルステックの具体例を紹介していきます。
ヘルステックとは?ヘルステックの基礎知識
ヘルステックとは何を意味するのか、ヘルステックの市場規模はどの程度あるのかご紹介します。
ヘルステックの意味
「ヘルステック」という意味はヘルス、すなわち健康・医療のケアと、テクノロジーを掛け合わせた言葉です。クラウドサービス、アプリ、WEB、ウェアラブル端末、IoTなどのテクノロジーを活用して、健康・医療領域の技術革新をおこなおうとするサービス・企業・業界などに対し使われます。
ヘルステックベンチャー投資規模
米Health 2.0社 共同創業者Matthew Holt氏によると、ヘルステック企業のベンチャー投資の市場規模は2011年は10億ドル程度だったものが、2015年に50億ドル規模に増加したという。(出典:グローバルカンファレンス「Health 2.0 Asia - Japan」)
医療・ヘルスケアのIoT市場規模
また、JPMA NEWS LETTER 2017年3月号 No.178 医療・ヘルスケアにおけるIoT(Internet of Things)によれば、医療および健康・予防などヘルスケア領域は、IoTによる関連領域も含めた市場規模は、2017年に約7000億円弱、2019年に8000億円を超え、2021年までに国内で1兆円に達するとの予測を紹介しています。(出典:JPMA NEWS LETTER 2017年3月号 No.178 医療・ヘルスケア)
医療・ヘルスケア産業の将来の市場規模
月刊事業構想2016年8月号による日本再興戦略を出典としたデータとして、ヘルスケア産業の市場規模は日本国内で2013年に16兆円だったものが、2020年には26兆円、2030年には37兆円と成長する見込みです。また医療福祉の従業者数は2030年には944万人となることで、製造業従事者の926万人を超える規模になる見込みです。(出典:月刊事業構想2016年8月号)
医療・ヘルスケア産業に対する日本の方向性
2016年日本再興戦略の中で、第四次産業革命により世界最先端の健康立国を目指すことを明示しており、「ビッグデータ等の活用による診療支援・革新的創薬・医療機器開発(治療や検査のデータを広く収集し安全に管理・匿名化する新たな基盤を実現)」、「IoT等の活用による個別化健康サービス(レセプト・健診・健康データを集約・分析・活用)」、「健康・予防に向けた保険外サービス活用促進、ロボット・センサー等の技術を活用した介護の質・生産性の向上(介護報酬や人員配置・施設基準の見直し等を含め制度の対応を検討)」がカギとなると明記しています。ゆえに、国を挙げて推し進めようとしている改革がヘルステックといっても過言ではありません。(出典:2016年日本再興戦略)
ヘルステックの具体例をご紹介
ヘルステックの具体例として検索されるのは、酸素カプセル、プロポリス、ストッキングなどが挙げられます。これらは、会社名やショップ名にヘルステックとついているものですので、このページを読まれている皆さまの探しているヘルステック情報とは乖離があると考えられるため、必要であれば別途検索してください。
一般的にヘルステックとしてイメージされるものとしては、診療支援・革新的創薬・医療機器開発、レセプト・健診・健康データを集約・分析・活用、ロボット・センサー等の技術を活用した介護の質・生産性の向上かと思われます。これらを中心にご紹介します。
診療支援・革新的創薬・医療機器開発
診療支援としては、研究が進むがんの情報を適切に利用し、AI(人工知能)を活用し、がんの発見確率をあげる試みが進んでいます。
また、創薬の分野では、たんぱく質の立体構造をもとに化合物の設計をすすめ、これまで時間をかけて検討をしていた合成のプロセスや設計をAIに任せ、あらゆる可能性から新規化合物を生み出す試みも進められています。
レセプト・健診・健康データを集約・分析・活用
健康データの集約・分析については電子カルテ化が進められていますが、共通フォーマット化などが進んでいないことや、個人情報の保護の観点でもなかなか進められていない部分があります。健康データを一元管理することで、症例や副作用などを一元管理することで多様な治療のノウハウが集積していくことになり、より効率的な治療方法の確立や副作用の少ない創薬の可能性が高まります。
健康保険組合の所有する健診データを一元的に管理する動きも進められています。
個人の生体情報を一元管理するサービスは既にいくつも出現してきています。体温や血圧を測ったりできるウェアラブル端末もありますし、スマホには歩数計がついています。体重計に乗るとアプリに連動するサービスも出現しています。食事、喫煙などの情報とあわせて収集することで個人の健康をサポートできる体勢が構築されつつあります。
ロボット・センサー等の技術を活用した介護の質・生産性の向上
薬の中にセンサーを入れることで、飲み忘れを検知することができる医薬品が登場しました。痴呆の患者さんが、定期的に飲まなければならない薬があってもそれを管理することは困難でした。その中で、センサーによって遠隔でも行動を理解できるようになれば、治療の方針を検討する上でも重要な要素になります。
見守りという観点でも、深夜徘徊を防止するために玄関に外出したこと、帰宅したことを検知するセンサーを設置することで、異常事態を早急に察知することができるようになっています。転んだり、寝たきりになっているというような姿勢の異常を検知するサービスにより、離れて暮らす家族が早期の対応をとることも可能になってきています。
また介護する側をサポートするロボットとして、背中に背負うと高齢者を持ち上げる際に力をサポートするロボットも出現しています。
一般のヘルステック領域とは外れますが、メンタルという意味では、
孫の顔を家庭のテレビで簡単にみられるサービスなども登場しています。