国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、今後人材不足が懸念されるAI人材の育成に向け、大阪大学と東京大学と連携し、特別講座「AIデータフロンティアコース」を開講すると公表しました。
大阪大学では先行して受講生の公募情報を公開しており、募集予定者数は20名という。東京大学では11月1日に公開予定となっているが、同様程度の人数の募集になるものと想定される。予算は2億2千万円と公表されており、仮に合計40名の開講とすると、一人当たり550万円予算をかけ、2020年に約4.8万人不足すると言われるAI人材の解消に向けて動き出した形となる。この見積もりで推移すると、2640億円かけることで、AI人材不足を解消することができる見積もりとなる。
AIデータフロンティアコースの対象者
・メーカー(電機、機械等)で開発プロジェクトに従事する者(~入社10年目)
・情報工学、数理情報、物理情報工学、デザイン情報学等を専攻した者/機械工
学等CSの周辺領域について専攻した者大学を卒業した者又は平成29年9月30日までに卒業見込みの者であって、デー
タの構築方法や解析手法などのAI技術を身につけることを希望する者
と狭き門となっている。
AIデータフロンティアコースの受講生の費用
受講生としては、大阪大学大学院の大阪大学科目等履修生となり、
費用としては、
- 検定料(9,800円)
- 入学料(28,200円)
- 入学授業料(6単位分86,400円)
- 入学学生教育研究災害保険の保険料(1,000円)
合計で12万5000円で受講可能となる。
AIデータフロンティアコースの内容
本事業では「AIデータフロンティアコース」講座の開講だけではなく、人的交流や周辺研究を事業として実施し、生産性、健康、医療・介護及び空間の移動という国の重点分野に対応する研究を推進していくという。
(1)人材育成の講座の実施
コンピューターサイエンスの基礎学力テストと補習、AIに関するトップレベル講義、リアルコモンデータを扱う演習、演習終了時の能力評価を通じて、即戦力人材の育成を行います。(2)人的交流等の展開
人材育成拠点と受講者の所属企業、大学、関係機関等の人的交流を促進するため、受講者参加型のシンポジウムやワークショップを実施します。(3)周辺研究の実施
効果的かつ継続的なAI人材育成を実施するため、教育目的において汎用的に活用できるリアルコモンデータのデータセット作成に取り組みます。作成するデータのドメインについては、人工知能技術戦略会議が策定した産業化のロードマップが特定する、生産性、健康、医療・介護及び空間の移動の重点分野を優先します。また、産業界のニーズを踏まえた最先端のAI知識と活用スキルを持つ人材を短期間で育成するための人材育成カリキュラムの開発も進めます。
AIデータフロンティアコースの大阪大学カリキュラム
AIデータフロンティアコースのカリキュラムは東京大学と大阪大学では異なるということだが、大阪大学では、データマイニングなどのビッグデータの解析や脳機能の計測、機械学習など、基礎から実データに基づいた学びを推進するという
「知能と学習」(前期必修)
キーワード:人工知能・機械学習の概要、決定木による学習アルゴリズム、ルールベースシステムとルールの学習方法、ナイーブベイズ学習と最近傍法、相関ルールとその学習法、クラスタリング、EMアルゴリズム、サポートベクトルマシン、述語論理の基礎、帰納論理プログラミングと関係データマイニング、バージョン空間法と説明に基づく学習、データマイニングのための前処理・データ変換、属性選択・構築と新述語の発明、アンサンブル学習「ビッグデータ解析」(前期必修)
キーワード:データマイニングの導入、多次元データ分析(OLAP分析)、データキューブ技術、相関ルールマイニング、パターンマイニング、クラスタリング、グラフマイニング、影響力分析、推薦技術、異常検知「脳機能計測概論」(前期必修)
キーワード:IQ等の脳認知機能の推定方法(JART、WATS等)、fMRIの概要、fMRIによる計測技術、fMRI装置を用いた実験、fMRIの時系列データ解析、fMRIデータによる脳ネットワーク解析、fMRIデータに対する機械学習「知能システム概論」(後期必修)
キーワード:パターン識別の概要、ベイズ決定則の概要、最小誤り識別則、正規分布に対する識別関数誤差確率、離散特徴、欠損・ノイズデータに対する扱い、最尤推定法、ベイズ推定、ベイズパラメタ推定、十分統計量、次元の問題、主成分分析、線形判別分析、EMアルゴリズム「マシンビジョン」(後期必修)
キーワード:マシンビジョンの概要、画像生成過程、フィルタリング、特徴抽出と照合、幾何変換、モデル当てはめ、ステレオ視、Structure from Motion、照度差ステレオと陰影からの形状復元、オプティカルフロー、物体検出、物体認識、マシンビジョンのための機械学習「知識情報学」(後期必修)
キーワード:機械学習概要、機械学習の基本的な手順、決定木学習、ベイズ学習、生成モデルと識別モデル、ニューラルネットワーク、サポートベクトルマシン、線形回帰、回帰木、アンサンブル学習、クラスタリング、異常検出、可視化と自己組織化マップ、パターンマイニング、系列データのラベリングと識別、半教師あり学習、深層学習
引用:プレスリリース
まとめ
民間企業でエンジニア教育の事業を行っている企業も増えてきている。その中で、受講生から12.5万円、補助金一人当たり550万円相当となってしまえば、戦う術はなくなってしまう。もちろん今回は40名程度の事業であるため、市場としてはまだ十分にあることになる。一方、2020年に4.8万人不足する中で、なぜ40人程度の育成なのだろうか。それであれば、すでに教育を始めている企業に対しての補助を増加させることで、大幅な人員増加が期待できなかったのであろうか。
今後どのような教育がなされていくのか注視して行きたい。
最新情報をお届けします
Twitter でPressPlatinumプレスリリースをフォローしよう!
Follow @PressPlat
「NEDO、予算約2億2千万円で東大と阪大でAI人材教育を開講。受講費用は12.5万円で民業圧迫」をお読みいただきありがとうございます。「NEDO、予算約2億2千万円で東大と阪大でAI人材教育を開講。受講費用は12.5万円で民業圧迫」のご感想や、関連するサービス・商品の体験談やレビューなども受け付けています。 AI(人工知能)ニュースに関する情報についてもぜひおしらせください。