キリンホールディングスのグループ企業であるメルシャン株式会社は、ワイン選びを手伝うAI・人工知能を活用した対話型サービス「オフィシャルアシスタント おしえて!みのりさん」を、9月14日(木)12時にリリースしました。
出典:プレスリリース
詳細は後述しますが、まだまだAIというには程遠いような作りとなっていました。使ってみたログとして共有します。
もくじ
おしえて!みのりさんとは
顧客ニーズの多様化に伴い、一人ひとりのお客様の好みに合うワイン、ワインに合うレシピ、コンテンツなどの情報をするために考えられた「AI」を活用した「チャットボット」と公表しています。
公式サイトの
右下の「おしえて!」の吹き出しを押すことにより会話を始めることができますが、事前に会員登録が必要です。
話しかけてもらったので、「よろしく」とつぶやきました。
あいさつへの対応ができないのは、初期データが少なすぎるかもしれません。
人工知能のみのりさんでできること
ワイン、レシピ、コンテンツの提案ができるということです。
「おすすめワイン」とつぶやくと、「おすすめモード」「こだわりモード」「料理合わせモード」の選択肢が表示されました。今回はおすすめモードを選択しました。
「記念日・ギフト」「プチ贅沢・ホームパーティ」「普段飲み(友人や家族と)」「普段飲み(ひとりで)」という選択肢がでてきました。
記念日・ギフトを選択したところ、予算を聞かれたのですが…
「条件に一致する情報は見つかりませんでした。」
とお硬い返事をされてしまいました。そもそも人工知能なら条件にあうワインがないのに、選択肢に表示しないでほしいです。表示してしまったとしても、もっとチャット形式であるなら、口語で返してほしかった…
みのりさんにちょっとイジワルしてみた
おすすめのなにかを返してもらおうかなと「おすすめ」とだけつぶやいたところ
なんだかそれらしく返してくれました。好みを勉強中ということで、人気の商品を教えてくれました。
「しいたけと小松菜とじゃがいものヨーグルト焼き」が美味しいかどうかはわかりませんが、あいまいな言葉でも学習済みなら返してくれそうです。
みのりさん、やるときはやるじゃん!
もっとレシピを教えてもらおうと、「もっと」と求めてみました。
キーワード検索が入っていて、コンテンツのタイトルとマッチしたらそれを紹介する仕組みになっているようです。
欲しい情報ではなかったので「いいえ」とこたえると、リストから選択するように誘導されました。
「当サイトについてについて」テストがちょっと足りていなかったようですが、そこは仕様ですということで。エンジニアの方か運用担当者の方が見られたら、修正しておいてもいいかもしれません。
じゃあ、「おすすめのワイン」じゃなくて、「わいん」ならどうかと試してみると
暑い夏のワインの飲み方を紹介してくれました。
参考にはならなかったので、というか「わいん」を紹介してもらおうと思ったので、「いいえ」と答えると、条件をかえるように言われました。
でもやっぱりわいんを教えてほしいので、わいんと答えました。
もう一度、同じ記事を紹介されてしまいました。
「わいん」を紹介するフローには入れなかったとしても、人工知能なら、さっき紹介してだめだった記事は紹介しないほうがいいのではないでしょうか?
人工知能がどこでつかわれているかわからない
このサービスについての言及とはそれますが、最近のプレスリリースをみていると、人工知能というワードがでていれば、取り上げられる確率が高まるのか、単純にチャットボット形式になっているサービスのことを、人工知能搭載であったり、人工知能を活用したという表現をしているサービスが多いように感じます。チャットで選択したもので検索して結果を返すだけであれば、旧来の検索機能と代わりはありません。そこにデータの蓄積による改良やパーソナライズが生まれて初めて人工知能といっていいと思います。
このサービスについて言えば、今後利用者が増え、ビッグデータが溜まった際に、回答精度が向上していくとも考えられます。しかし、決算の資料によると、キリングループは連結子会社167社あり、連結従業員数は28567人います。テストサイトをリリースして、グループ企業の従業員に使ってもらって、データをためて教師データとして改良した上で、リリースすることもできたはずです。(巨大メーカーのしがらみはあるのかもしれませんが)
スタートアップができないことは、人的なアセットがないために、リリース前に品質を高めておくことです。そのためにアルファ版をリリースしているわけです。大手メーカーには多くのアセットがあります。そして既存のブランド力があります。その中で粗悪なサービス提供をしていくことで、既存サービスにまで影響が出てしまうことも考えられます。
人工知能エンジンは株式会社ALBERTのProactive AI
キリン、メルシャンはネットサービス事業者ではないので、どこかのベンダーに依頼をして上がってきた企画案や内部で考えた企画案をベンダーに投げたのかも…と通信を確認してみると、proactiveaiと通信を行っていることがわかりました。
株式会社ALBERTはマザーズ上場企業で、渋谷区のOne to Oneの子育て支援サービスに導入されている、AIを活用したチャットボット型接客ツールにも採用されているproactive aiを提供している企業です。そちらの仕組みを図示したものによると、おといあわせ情報の教師データをもとに人工知能が活用されているようです。
出典:株式会社ALBERT(アルベルト) 2017年12月期 第2四半期決算説明資料
まだ、みのりさんは発展途上ということなんだと思います。長い目でみて、どのように成長していくのか期待してみたいと思います。
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